航空機産業で確かな実績
70年以上に渡りソリッドツール業界をリード
2016年3月に京セラグループの一員となった京セラSGSプレシジョンツールズ(以下、京セラSGS)。前身のSGS Tool Company 時代を含めると、ソリッドツールの製造・販売で70年以上の実績を持つ歴史ある企業です。京セラSGSは、どのようにしてソリッドツール業界で信頼を獲得してきたのでしょうか。その歴史と技術力を紐解きます。
京セラSGSの前身であるSGS Tool Companyは、切削工具の修理事業を中心とし、1951年にオハイオ州・アクロンに設立されました。以来、ソリッドツールの製造・販売を行い、欧米を中心にソリッドツール業界をリードしてきました。特に航空機産業では、チタン合金・CFRPなど幅広い難削材に対応する豊富なラインナップで強みを発揮してきました。2016年に京セラSGSとして京セラグループの一員となってからも欧米を中心にソリッドツールの販売を継続し、2019年からは、日本国内でも京セラSGSの製品を販売しています。
京セラSGSがソリッドツール業界をリードしてきた理由のひとつは、幅広いニーズに対応する製品ラインナップが充実していることです。これらの製品は、研究開発に重点を置き、品質と研磨技術の向上に徹底的に取り組むことによってのみ生み出されます。
京セラSGSは、不等分割、不等リード、不等すくい角などを採用した数々の特許製品を発売してきました。それらの設計によって、工具がワークに食い付く際と抜ける際の共振現象を抑制し、良好な仕上げ面品位を実現します。
世界的に知られるZ-Carbシリーズをはじめ、荒加工用 Z-Carb HPRや、仕上げ用 Multi-Carbなど、多岐にわたる工具を製造・開発しており、難易度の高い加工を行うお客様の多様なニーズに対応します。
新発想のバレル形状(大きな円弧状切れ刃)により、加工時間の大幅な短縮が可能です。5軸加工機、3D-CAMとの連携により、パフォーマンスを最大化することが可能です。
側面のR 切れ刃で切削するため、従来のボールエンドミルに比べ、スキャラップハイト(凹凸の差)を小さくできます。そのためピックフィード(1ピッチ当たりの移動量)を大きく設定することができ、加工時間の飛躍的な短縮に繋がります。またワークとの接触面積が広く切削熱が分散するため工具寿命の大幅な向上を実現します。
H-CARB は、高切込みのトロコイド加工と高速加工に特化した7枚刃エンドミルです。7枚刃の採用により、5枚刃、6枚刃仕様に比べ高速で優れた仕上げ面を実現します。特殊なコアとフルート設計により合成と切りくず排出性を向上させ、加工時の工具たわみを低減します。ステンレス鋼、チタン合金、耐熱合金、炭素鋼、合金鋼、鋳鉄、焼入れ鋼で優れた工具寿命と性能を発揮します。
航空機産業は全世界的にこれからも成長発展を続ける産業分野で、民間機市場では今後20年間で市場規模が倍増すると予測されています。また、世界中の先進技術を取り入れて作られる航空機産業の技術は日々進化しており、材料技術の進歩や、それに伴う切削加工の難削化、要求精度の高度化など、切削加工においても高いレベルを求められるようになってきています。
航空機産業の高い要求に応えるために重要になるのが研究開発です。京セラSGSは、米国CCAM(※1)および英国AMRC (※2)の参画企業として、プロジェクトに関わっています。CCAM・AMRCの研究開発施設では、ユーザー、材料メーカー、設備メーカー、機器メーカー、そして切削工具メーカーが集結し、それぞれが持つ技術・経営資源を共有しながら一つの開発テーマを進めていきます。自社の経営資源に頼るだけであった従来の開発手法と比べて、飛躍的な開発スピードと市場ニーズへの適合、技術革新の可能性を生み出します。
※1 CCAM...米国・先端製造協同研究センター(写真左)。エアバス、シーメンスなど30を超える企業と 学術機関が参加。2011年設立。
※2 AMRC...英国・先端製造技術開発センター(写真右)。ボーイング、ロールスロイス、BAEシステムズなど100社超が参加。2001年設立。
京セラSGSは航空機産業だけでなく、今後も大きな成長が見込まれる医療分野など様々な産業分野において、ソリッドツールを通して革新的なソリューションを提案します。これからも、京セラはグループ各社のシナジーを最大限に生かし、お客様にソリューションを提案します。